脳疲労改善予防プログラム Ⅳ
呼吸法…
横隔膜は、肋骨とお腹の柔らかい部分の境目にあります。横隔膜から下には、胃腸などの臓器がある腹腔と呼ばれる空間があります。息を吐いた時、横隔膜が緩み、上にあがります。腹腔は、圧力が下がり下半身の静脈血が腹腔へと流れ込みます。息を吸うと、横隔膜が緊張し、下がります。腹腔は、圧力が高まります。お腹の圧力が増し、お腹に戻ってきていた静脈血が更に胸の方へ押し上げられます。静脈は、呼吸・横隔膜の働きによっても血液を心臓に戻すお手伝いをしています。
呼吸が深くなると、横隔膜が作る圧力が大きくなり、静脈血の流れが良くなります。呼吸が浅くなると、圧力も小さくなり、足などの末端に貯まりやすい静脈血を心臓に戻す作用が小さくなります。毛細血管から体内へ漏れる水分は、1日に20リットルと言われており、9割が静脈から吸収され、残り10%の水分がリンパから吸収されるに過ぎないため、浮腫の原因は、リンパではなく、静脈と言われています。最終的には、リンパも静脈に向けて流れ込むため、静脈の血流が良くないとリンパも詰まりやすくなります。静脈こそがカラダの中の水の流れを担っていると言っても過言では、ありません。
体幹を意識した呼吸法のコツは、上体を起こして息を鼻から4秒かけてゆっくり吸う。吐く時も出来れば鼻から、口からの場合は、口を少しすぼめて8秒かけてゆっくり吹くように、横隔膜のところから上体を少し前に倒して吐きます。これを〜10回行ってみましょう。体幹を意識して呼吸をすると、横隔膜の動きによる腹腔に圧力を加えたり緩めたりすることで、足などの末端に貯まりやすい静脈血を心臓に戻すお手伝いが出来ます。
半身浴…
朝から夕方の合間に20〜30分のおへそまで浸かる半身浴を行いましょう。寝る前にお風呂に長く浸かるのは、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまうこともあります。40℃以上のお湯に浸かると自律神経を乱したり、心臓に負担をかけてしまいます。半身浴後にコップ一杯のお白湯を飲ませると胃腸がダイレクトに温まり、相乗効果で代謝が高まり、体内の未消化物が燃焼し、病や不調を防ぐことが出来ます。虚弱体質、手足が冷たい、胃腸が弱い、情緒不安定などのヒトには、特に効果的です。
神経と筋肉…身体の使い方
骨格筋を支配する神経細胞の運動ニューロンは、脊髄から全身に広がっており、末端は、枝分かれして神経終末となり、自らの意思で動かせる骨格筋まで伸びており、お腹側を通る服内側系は、体幹。背中側を通る背外側系は、手足動きを(収縮・弛緩・伸張)をコントロール(抑制制御)しています。
片腕の重さは、約4〜5キロ。右腕を前に差し出すだけでも重心の位置は、前になるはずです。ペットボトルを持つと更に重心が前に振られます。それでも倒れないのは、腕を伸ばす前に、重心が前へ移動しても平気なように体幹や下半身の筋肉を適度に制御・抑制するからです。これが予測姿勢調節であり、その一連の命令も小脳が深く関わっています。スポーツでは、ペットボトルを手で取るよりも遥かに複雑な動作を組み合わせていますので、予測姿勢調節は、一層重要になります。
大脳皮質(脳)からの随意的な指令に対し、脊髄から無意識的に起こる指令を反射的指令と呼んでいます。大脳皮質からの随意的指令が、動作の途中で強く続くような従来の腹筋や腕立て伏せなどの動作は、せっかく反射で起こったしなやかな動作をも制限し、血流阻害などを引き起こしてパンパンになったり、身体が重く硬い動きになったりし、怪我や故障の原因にもなっていました。
神経と筋肉の調和を整える(神経筋制御論)やまおく体操を考案しました。この体操は、大脳皮質からの随意的指令が、然程、動作の途中で続くこともなく、脊髄から無意識的に起こる指令を反射的指令により動作させることが出来るような仕組みになっていますので、運動直後に筋肉・血管・神経が弛緩され、ほぐれた感があると共に、継続的に利用することで、小脳に保存されているこれら一連の動きを内部モデルとして残すことが出来ますので、当たり前の健康法のつもりで、取り入れてみて下さい。