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寒い時に熱を作る仕組みについて…Ⅱ

骨格筋をブルブル震わせ熱を作り体温を下げないようにする
褐色脂肪細胞は、自律神経の交感神経によって熱を生み出します。それだけでは体温が保てないほどの低温になると、脳内の別のルートを辿り運動神経を介して震えるという指令が骨格筋に届きます。その指令に基づき、骨格筋はブルブル震えて熱を生み出します。震えは1分間に最大200~250回にのぼる不随意運動で、ジッとしているときに比べて最大で6倍の熱を作り出すのです。この現象をシバリングと呼んでいます。



以前にもお話ししましたが、運動神経という固有の神経は存在しません。ですので、ここでの運動神経とは、元々人間に備わっている恒常性(身体の外から受ける環境や内部の変化にかかわらず、身体の状態(体温・血糖・免疫)を一定に保つ機能)や過去の経験等により小脳に完成された多くのプログラムによって、小脳と大脳皮質のスムーズな連携により状況に応じた素早い精密プログラムとしてシバリングが実施されています。

例えば、震えによって上手く喋ったり歩いたりすることが出来なくなることがありますが、体温が下がってしまうほど寒い時には、そうした普段の動作を犠牲にしても、体温を調節することのほうが、生命を維持するには優先されているんだと考えられています。そのため体温が約31℃以上なら身体が震えて熱をつくり出しますが、約31℃を下回るとシバリングが止まり体温は急速に下がります。シバリングは命を守る大切な生理作用です。

熱があるときに、ゾクゾクして震えることがありますが、これも震えて体温を上げようとする生理反応です。熱があるのに体温を上げる必要はないのですが、熱があると外気温との差が大きくなり、寒いと感じて震えるの同じ現象です。


寒い時に熱を作る仕組みについて…Ⅰ

身体は、皮膚から寒さを感じると脳にその情報が伝わり、熱を作る仕組みが無意識のうちに働き体温が下げないようになっています。熱を作る仕組みは、寒さの程度に応じて次のように段階的に働きます。

褐色脂肪細胞で熱を作り、体温を下げないようにする
脂肪細胞には、いわゆる皮下脂肪や内臓脂肪などの白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類が存在します。白色脂肪細胞は細胞内に栄養を脂肪として貯蓄しますが、褐色脂肪細胞は脂肪を分解し熱を産生することで体温の調節をします。特に寒い環境下では、交感神経の活動が高まるにつれて褐色脂肪細胞が活性化し、体温が下がりすぎないよう熱を産生します。



これまで褐色脂肪細胞は乳児期にのみ存在し成長するにつれ消退すると考えられていましたが、成人であっても肩甲骨周囲や脊椎周囲に限局して存在していることが分かりました。褐色脂肪細胞の機能低下や数の減少が、生活習慣病やメタボリックシンドロームの原因になることが分かってきました。


早寝は三文以上の徳

睡眠時間の長いフランス人は、1日8時間38分に対し、日本人女性は、7時間33分なのだそうです。欧州諸国では、男性より女性の方が睡眠時間が長いのに対し、日本では男性より女性の方が20分も短いそうです。世の男性のみなさん、働くお母さんにばかり負担が行くようになっている日本ですから、普段のゴミ出しだけじゃなく、もう少しお掃除やお料理などの家事手伝いをしてあげましょう 笑。


母親の労働時間が長いほど、遅くまで起きている子供も多くなります。先日、幼稚園のお迎え待ちで、お母さん達に生活スタイルをお聞きしてみましたところ、お迎えに来られているご家庭は、まだ大丈夫なのだそうですが、共働きのお母さんの仕事終わりが18時過ぎ、19時頃にお迎え、お買い物を済ませ自宅に帰り、お料理・お風呂・夕食を済ませての就寝が22時近くになるのだそうです。そうなると起きるのも辛いので、朝食を食べないで登園することになるでしょう。



夜22時以降に寝る未就学児の割合は、母親の労働時間が週20時間未満では35.5%であるのに対して、60時間以上では49.3%と約半数になるとのデータがあります。実際のところ、お母さんも疲れている訳ですから、テキパキと家事を済ませることも出来ないかと思われます。現代社会では起床時刻を遅らせるには限界がありますので、日本の子供は欧米に比べて1時間以上睡眠時間が短いことになるでしょう。



いくら良いものを食べて栄養豊富な血液を造ったとしても、睡眠により栄養豊富な血液を増やすことが出来ませんから、睡眠不足の影響は重大です。不眠症は他の慢性疾患よりも職場での事故や失敗との関連も高く、ここ30年豊かになっていませんから、気づかないうちに経済損失に繋がっているのかも知れません。何処かの経済ジャーナリストが話してましたけれど、睡眠不足による我が国の経済損失は約3兆5千億円と言われてました。



実は、深刻なのは子供の方です。大人と違って眠気に打ち勝つ能力が乏しいので、食事をしながら眠ってしまうこともあります。以前と違って先生に威厳がありませんので、授業中にボ〜としている就学児童も多く、いらだちが強くなり注意欠陥・多動性障害とみなされることもあるのだそうです。計算などの特定の分野の学習障害が起こったり、中高生でキレやすくなるのも関係しているかも知れません。


僕も学生時代から10年くらい前まで睡眠時間は4時間未満でした。40歳にもなると体力も衰え、目眩や耳鳴りと闘いながら仕事をしていることもありましたので、お客さんからお金を頂いているのに、きちんと誠心誠意で仕事に向き合えて無かったのかも知れません。

最近は、小さい子供が居ますので、夜20時頃には電気を消して寝ています。最初は何処か不安で眠りにつけませんでしたが、徐々に眠れるようになりました。精神的なストレスが少なくなって来ましたら、本当は、子供を早く寝かせるためにもっと力を注ぐべきです。



どのご家庭にも夜遅くまでTVを見たりゲームをしているのは悪いことだという認識があります。

例えば、先日カウンセリング来られた野球チームの指導者さんは、ウォーミングアップやクーリングダウンを真面目にやらないので、どうしたら良いか?との質問でしたが、チームの1日のスケジュールをお聞きしてみたら、夜21時頃まで照明設備を使ってまで練習をさせているそうで、学生さん達は、帰宅して夕食を食べてお風呂に入り、勉強もしないで床に入るのは24時頃になるんじゃ無いか?と話しておられました。

子供人口の減少だけじゃなく、別の理由でスポーツ離れの学生が増えている原因でもあるのだと感じますし、この生活スタイルが、身体にどのような影響を及ぼしているかもう一度考えてみてはいかがでしょう。と言う話になりました。



睡眠と肥満の関係

このところ健康コラムでは、睡眠と健康についてが続いていますが、実は、やまおくジムにご来館されている方々の中に、睡眠で困られて訪れるきっかけが出来た方々も少なくありません。

香川県の糖尿病による死者が人口10万人当たり約17人と全国的にも多い状況が続いてますので、運動指導者として気にしている部分が大きいのですが、これまでの数多くの研究でも睡眠時間と肥満の度合いとの間には、U字型(睡眠時間が長くても短くて良くない)関係があることが明らかになっています。



横軸に睡眠時間を縦軸にBMIを取ったグラフをご覧いただいても、統計的なデータですが、睡眠時間が長くても短くても肥満の指標であるBMI指数が高くなることが伺えます。

睡眠時間が短くなると肥満リスクが高まるメカニズムについては、少々個人差もありますが、睡眠食欲に関わるホルモンの変動、交感神経やストレスの影響、糖代謝の変化、身体の炎症反応の影響、エネルギー消費量の減少などの要因でも解明されています。

睡眠不足が肥満リスクを高める原因として最も有名なのは摂食ホルモンの影響です。摂食ホルモンは、食欲を増進させるグレリンと食欲を抑えるレプチンが、食欲や食行動に影響するホルモンです。同じ人でも睡眠時間が短くなるに従って血中グレリン濃度が上昇し、逆にレプチン濃度が低下しますので、実際に食欲も増します。また、たった数日の寝不足でも食行動に影響を与えるようなホルモン変動が生じることも知られています。



肥満のない健康な人を対象に、2週間に渡り9時間就床させる(最長9時間眠れる)時と、同じ人に2週間に渡り4時間しか就床させない(最長でも4時間しか眠れない)時で体重や内臓脂肪の変化を調べた研究があります。その結果、睡眠時間が短いときには長いときに比べて1日当たりの摂取カロリーが増え、体重増加は僅かでしたが、内臓脂肪が大きく増加することが分かりました。つまり体重計に乗るだけでは身体の奥底で進んでいる睡眠不足の悪影響は分からないと言うことになります。

ひょっとすると誰もが自分では気付かない程度の睡眠不足を抱えているかも知れませんから、睡眠不足を解消することで肥満リスクを低下させることができるかも知れません。自分で気付けない睡眠不足を潜在的睡眠不足と呼びますが、潜在的睡眠不足が怖いのは、問題点に気付いておらず、また自覚症状もないがゆえに、何年も何十年も同じ生活スタイルを続けてしまうことです。定期健康診断で肥満・糖尿・高血圧を指摘される前に、睡眠習慣をアプリなどを使って見直してみましょう。

睡眠時間が長くなると肥満リスクが高いメカニズムについては、今のところ分かっていません。肥満に陥りやすい人は、元々日常の活動量が少なく、座っている時間や横になっている時間も長いので、結果的に睡眠時間が長くなるのかも知れませんから、睡眠時間が長くなると肥満リスクが高いというよりも、生活スタイルが起因しているのではないかと考えられています。

また、睡眠時間と糖尿病、高血圧、うつ病、寿命などの様々な健康指標との間にもU字型関係が見られますので、何らかのメカニズムが存在していると疑われています。


夢を見ることで記憶を無くす…

お酒を飲むと記憶をなくしたりするのを、いわゆる酒乱と呼んでいますが、アルコールを代謝するために、アルコール自体をアセトアルデヒドという代謝できる物質に変える酵素(ADH)とアセトアルデヒドを酢酸に分解し水と炭素ガスに変える酵素(ALDH)の2つの分解酵素があり、アセトアルデヒドの代謝はうまくできるのですが、アセトアルデヒドに変えるのがうまく行かずに血中アルコール濃度が高くなり、アルコール中毒のような状態になります。海馬の血流が悪くなって記憶障害(ブラックアウト)を起こし、記憶が断片的になったり忘れてしまったりしています。



睡眠にも不必要な記憶を消去し記憶を整理する記憶忘却の働きがあると言われています。脳が活動レベルを低下させるノンレム睡眠に対し、脳が活発に活動するレム睡眠は、ノンレム睡眠の後に現れるため、生理的役割や記憶に及ぼす影響などのメカニズムはほとんど解明されていませんでした。

記憶の中枢である海馬に軸索を伸ばす神経細胞を標識するため、軸索末端から細胞体へ輸送される逆行性ビーズを海馬に微量注入したところ、睡眠覚醒の中枢である視床下部の神経細胞の一定数が標識され、その大半がメラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)であることが分かりました。MCH神経はレム睡眠の制御に関わることも報告されています。

海馬が関与する記憶へのMCH神経の働きを検証したところ、MCH神経を一過性に活性化することで物体の認知記憶や恐怖と空間を結びつける記憶の成績が低下することが分かりました。活性化とは反対にMCH神経の活動を抑制した場合には記憶成績は向上しました。これらの所見は、MCH神経活動による記憶忘却を示すことになります。



水族館等でご覧になられた方もいらっしゃるかも知れませんが、タコは寝ながら体色を変化させています。ひょっとしてタコも夢を見ての感情を表してるんじゃと思われたりしますが、タコが夢を見ているか?どうか?調べることが難しいので、本当のところは分かりません。

記憶能力には限りがありますので、何らかの方法で記憶の取捨選択も必要です。朝起きて覚えている夢は処理しきれなかった記憶の残渣なのかも知れませんから、夢を見ない人は、実は効率よく記憶を消しておられたのかも知れませんね。


ちなみに動物達の睡眠時間…
 トラ:15.8時間
 リス:14.9時間
 ゴールデンハムスター:14.3時間
 ライオン:13.5時間
 ネズミ:12.1時間
 ウサギ:11.4時間
 ハンドウイルカ:10.4時間
 チンパンジー:9.7時間


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