基礎代謝量と生活習慣病
| 運動
身体は、運動・食事・就寝時・安静時でも、呼吸・心臓拍動・体温維持などを行っており、生命が維持されている限りエネルギーは消費されています。生命維持のために必要とされる最低限必要なエネルギー量のことを基礎代謝量といいます。
筋肉量が多く基礎代謝量が高い人ほど太りにくい傾向にあります。同じ体重でも体脂肪率が低く基礎代謝量が高い人ほど、たくさん食べてもどんどんエネルギーが消費されますので、結果的に脂肪が蓄積しにくい状態になります。また基礎代謝量が低い人はエネルギーをなかなか消費できないため、余ったエネルギーが脂肪として体内にため込まれ太りやすい状態になります。
基礎代謝量は、生後成長するにつれて高くなり、~19歳前後をピークにその後は徐々に減り、40歳を過ぎると主に加齢により筋肉量が減少しますので、急激に下降線を辿ります。年齢だけでなく、性別・体格・生活状況・体表面積・平均体温・食事や運動などの日常行動によっても基礎代謝量は異なります。体温が1℃上昇すると基礎代謝量は約13%増加し、脂肪と筋肉では筋肉の方が脂肪よりも消費されるエネルギーが多いので、女性より筋肉量の多い男性のほうが基礎代謝量が高くなっています。
運動によって筋肉を収縮・弛緩・伸張をさせる過程でエネルギーが必要とされるため、糖質・脂質が消費されます。運動によりカロリー消費が高まれば肥満を防ぐことができます。このように生体成分が代謝され、形を変えることを異化と言います。
運動終了後、しばらくしてから筋肉では筋肉量を増やすべくタンパク質合成が上昇し、同化作用が働きます。運動は時間差で異化・同化というまったく方向性の異なる生理変動を誘発します。こうした生理変動と同時に、筋肉は代謝組織としても重要な働きをしています。
食後の血糖値上昇に伴いインスリンが分泌されると血糖値が低下しますが、これは血中グルコースの75%近くを骨格筋組織が取り込むためです。ですので、血糖値を正常値に近いレベルに維持するには、骨格筋量を維持することが必須となります。加齢とともに筋肉量が減少すれば身体機能の維持が難しくなり、尚且つ血糖維持を介した代謝制御機能も衰えます。
若い頃は良しとして、加齢に伴い減るであろう筋肉量を保持する努力や工夫は、健全な代謝制御機能が保たれることになり、生活習慣病発症の予防に繋がりますので、歩行速度が衰えないよう気をつけましょう。