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ランニングよりも効果のあった運動法

高強度短時間トレーニングが世界中から注目を浴び、アスリートは、勿論のこと、健康スポーツとして取り入れらる場面も増えて来ました。しかし、高強度での運動となると、過度な血圧の亢進が認められるため、血圧の高めの方などの心臓血管系に心配がある方、最近増えている脳梗塞や脳内出血などの脳卒中の心配がある方など、誰もが行えるものでは、ありません。

そこで、低負荷での運動を長時間、及び、頻度高く行うことで、同じ効果が得られることがわかりました。グラフをご覧頂けると分かりやすいと思われますが、低強度での運動は、高強度での運動と時間効率が異なるだけで、効果がほぼ同じと伺えます。キツい運動じゃないと効果が無いと諦められている方にとっても、楽で長く続けられます。



また、低負荷の筋トレでも、1回にかかる筋肉への負担が少ないため、筋肥大は期待できないとされてきましたが、2010年のカナダのマクマスター大学で行われた研究では、低負荷のトレーニングであっても、高回数行えば筋たんぱく質の合成率が増加し、筋肥大が起こると実証されています。前述しました通り、細胞は、酸素を受け取ってエネルギーを造る場所、いわばエンジンでもありますので、どんどん運動をすることで、安静時の数倍も酸素を巡らせて筋細胞に送ってあげれば、受け取る側の筋細胞が少ないと順応して増えて行きますので、低負荷高回数の筋トレを行って筋肥大させることは可能だということです。

短期的だけでなく、長期的なトレーニング計画によって、低負荷高回数の筋トレと高負荷低回数の筋トレは同等の筋肥大の効果が得られることも分かっています。



アスリートにとっては、低負荷でのトレーニングは、積極的疲労回復にも効果が期待され、練習の前後に採用することで、翌日に疲れを残さず、レベルの高い練習が日々続けられます。一般の方にとっては、トレーニングスケジュールによっては、ランニングより効果ある運動法にもなるかと思われます。筋細胞が増えるばかりではなく、末梢で循環する血液の量が増加したりすることで、疾患予防の効果があります。例えば、糖尿で計測するHbA1cの改善やHDLコレステロールの上昇のほか、安静時の血圧低下も認められています。

また運動の途中での捕食を摂るなど、エネルギーを消耗したまま長く続けると、逆に筋肉量が低下して基礎代謝が下がり、痩せにくい身体になってしまうこともありますので、1時間未満を目安に計画しましょう。


筋細胞増量のために必要なこと…

筋肉が減ると基礎代謝が落ちます。筋肉量は基礎代謝量に比例しますので、筋肉の減少は代謝の低下に繋がりますし、例えば歩行速度が遅くなり移動能力の低下も見受けられるようになります。

日常の活動性も低下しますので消費エネルギー量も減り、それに伴い脂肪が付きメタボリックシンドロームにも繋がります。消費エネルギーの減少により食欲が低下して栄養状態が悪くなると体重が減少し、サルコペニアの進行に繋がります。そうなると次第に情報を収集する量が減りますので、認知症の心配が出て来て、介護に繋がっていきます。悪循環ですよね。



サルコペニア・ロコモーティブシンドローム・メタボリックシンドローム・認知症は、互いに関連し合っています。悪くなるまで様子を見るのではなく、個人個人が自己努力をすることで、予防出来まることから、様々な社会課題を克服することに繋がることが期待されています。

筋力増強の基本原則は、キツいと感じる運動をしなければ筋力は向上しないと長年言われて来ましたし、誤解していらっしゃる方々もおられるかと思われます。細胞は、酸素を受け取ってエネルギーを造る場所、いわばエンジンでもありますので、どんどん運動をすることで、安静時の数倍も酸素を巡らせて筋細胞に送ってあげれば、受け取る側の筋細胞が少ないと順応して増えて行きますので、日常生活動作に必要な程度の筋力強化を目安に取り組むには、それ程キツい運動でなくても構いません。



日常生活動作に必要な筋力とは、安静時の3.5〜4.0倍程度ですので、軽い筋力トレーニング・お散歩・早歩き・自転車・ゴルフ等で十分鍛えられますし、運動苦手な方や初心者でも安心して取り組めます。神経筋を刺激する運動を週1回、酸素を循環させる運動を週3回行うのが目安です。


何もしなければ老年期に歩くことが困難になる

讃岐うどんの本場・香川県は、全国でも糖尿病の人が多い県です。 人口10万人当たりの糖尿病有病数は、2017年に全国で8番目に多く、糖尿病による死亡率は3番目に高い。 特に若い人で、血糖コントロールや肥満の悪い傾向がみられます。

また、小学生で脂質異常とされる割合が10%、糖尿病発症リスクが高い割合も16%に上り、直近10年で最悪となりました。2021年の国の人口動態統計によると、香川県は人口10万人あたりの糖尿病死亡率が全国で2番目に高く、 将来の生活習慣病の発症予防も狙い、県が市町に補助をして検査を実施しています。



肥満は、食事やおやつで摂るエネルギーよりも、運動などで消費するエネルギーが少なく、身体に脂肪が必要以上に多く蓄えられた状態です。一時は、給食の制限等で上手く行ったように思われましたが、車での登下校、体育の授業が少ないなど、日常の活動量が非常に少ないため、子どもの肥満が改善されないままでいます。そのまま大人になると、高血圧・高脂血症・糖尿病などの病気になりやすくなります。

また成長期に筋肉量を増やしておかないと、運動不足のまま年齢を重ねサルコペニアが進むことになり、移動するための機能も低下した状態となり、以前より長生きする世代なのに老年期に長い期間の介護が必要となるかも知れません。



運動器とは、人間が立つ、歩く、姿勢を保つなどの、広義での運動のために必要な身体の仕組み全体です。運動器は、筋肉・骨・関節・神経などから成り立ちますが、これらの組織の障害によって、立ったり歩いたりする能力(移動機能)が低下した状態をロコモティブ・シンドロームと呼びます。

生涯にわたり健康を保つには、中年期から筋量の減少を抑制する必要があります。


中年期から急激な筋肉の減少が始まる

中年期から起きる身体の変化には、筋力の低下もあります。加齢とともに筋肉量が減少する老化現象をサルコペニアと呼びます。加齢による筋肉量の減少がどのように起こるのか、グラフをご覧ください。



このグラフからですと、大腿四頭筋・腹直筋・上腕三頭筋の筋肉量の減少が激しいのが伺えます。

大腿四頭筋は、太腿の前の方にあって大腿直筋・外側広筋・中間広筋・内側広筋の4つの筋肉の総称です。



腹直筋とは、お腹の前面(肋骨の下から骨にかけて)にある筋肉を指します。 背中を前方に丸める体幹屈曲動作や正しい姿勢を維持するのに使われる筋肉です。 腹直筋には、白線(はくせん)と伳画(けんかく)と呼ばれる伳性線維が走行しており、それらによって筋肉は 6つ(人によっては 8つ)に割れています。



上腕三頭筋は上腕二頭筋の裏側にある筋肉です。 腕の後ろ側、二の腕の部分の筋肉で、名前の通り三つの頭(内側頭、外側頭、長頭)から成る筋肉です。 腕を前や上に向かって押し出す動作トレーニング時に意識することができます。



筋量の減少は、30代からすでに始まり、急激に減少していくことがわかりますが、例えば、自転車で使われる大腿の筋量は、加齢による低下が最も大きく、20歳時に比べて、男性では50歳で85%、70歳で65%まで低下すると報告されています。女性では、減少率が更に大きく、50歳で75%、70歳では55%に半減します。

このように、歳を重ねるほど意識的に筋肉を鍛えなければサルコペニアが進行し、下肢を中心に運動機能が衰えていくことになります。

筋量の減少は、運動機能を低下させるだけでなく、基礎代謝量も減少させ、肥満の原因にもなります。基礎代謝量とは、内臓の活動や呼吸、体温の維持など、生命活動を維持するために消費する必要最小限のエネルギー量のことです。

このように中年期から急激な筋肉の減少が始まる訳ですから、減るであろう筋肉量を増やすこと、減らさない努力や工夫をされてることが大切なのです。


筋力低下を病と捉え対処する…

筋肉は、身体の各部を動かす組織で、手足を動かす骨格筋、消化器や血管にある平滑筋、心臓を拍動させる心筋の3種類に分けられます。これらは、いずれも筋細胞が集まって構成されています。骨格筋は、骨に付着していて身体を動かしますが、それだけでは無く、身体のバランスを整え姿勢を保ったり、外部の衝撃から血管や内臓を守ったりします。



筋肉は、伸び縮みすることで熱を生み出します。人間の体温は、平均的に36〜37℃に保たれますが、熱の約6割を筋肉が生み出しています。筋肉のエネルギー源は、糖と脂肪です。身体を鍛えて筋細胞を増やしたり維持したりする事で、糖や脂肪の消費が増え、元気で健康に過ごせるばかりか、生活習慣病予防の一役買うことにもなります。また筋肉は、水分も蓄えます。体重60kgの方で、15〜20Kgの水分が筋肉に蓄えられています。



成長期を終え、中高年になると筋肉の減少が始まります。これをサルコペニアと言いますが、放っておくと骨格筋の細胞が減り始め、バランスを崩したり健康を損ねたりするだけでは無く、老後の歩行困難などの原因にもなります。加齢とともに筋肉量が減っていくのは自然なことですが、筋肉量の急激な減少は、病と捉えて対処しなくては、なりません。



医療機関に係るには、もう少し悪くなってからになるかと思われますので、安静にして様子をみましょうとアドバイスされるかも知れません。そこまで待っていても良いことありませんから、みなさんは、自分で筋肉量の維持向上のための過ごし方に努力や工夫をされていらっしゃいますでしょうか?

24時間ジムに行っても誰もアドバイスしてくれませんから、良き運動指導者に巡り合えるために、個人ジムを運営している施設を訪ねてみましょう。安心して随分と楽に取り組め続けられますよ。


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