縄跳び運動は、縄が1本あれば狭い場所でも手軽に実施できる運動です。縄跳びには、一般社団法人日本なわとびアカデミーが監修した「なわとび実力検定」なるものがあり、種類も一人でできる短なわとびや集団でも楽しめる長なわとびがあります。
さらに短縄跳びや長縄跳びにおいては、それぞれ多種・多様な跳び方が考案されていて、多様な難易度の跳び方があるため、難易度の面から跳び方の技術レベルを評価することも可能です。
また、縄跳び運動を健康づくりや運動処方の手段として活用される場合、運動の特性や運動効果を発現させるための適正な条件(運動強度・運動時間・運動頻度)を明確にすることで可能になります。学校の体育の授業では、出来るか?出来ないか?を競わせたり、ただ闇雲に縄跳びを長時間させるなどで、嫌いになられた方も、中にはおられるかも知れませんが、ある程度規定しておくと、気軽に健康づくりや運動処方として活用しやすくなります。
では、縄跳びを少し科学してみましょう。
持久力と運動強度について…
運動や仕事をする時など、身体を持続的に動かす時に必要になるスタミナ。スタミナが切れて十分な成果を出せなかった、途中で集中力が低下してしまったという経験がある方もいらっしゃることでしょう。スタミナは、能力を発揮するためだけではなく、健康を維持するためにも必要なものです。
スタミナとは、持久力のことです。長い時間に渡って身体を動かせる能力のことを指しています。筋力や瞬発力などと並び、健康な状態を表す指標ともなっています。
スポーツ科学の分野では、スタミナは酸素摂取量を使って評価しています。その運動が安静時の酸素摂取量の何倍に当たるのか?を示すことで、どのくらいの運動強度なのか?どのくらいの回数や頻度行えば良いのか?お散歩と比べるとどうなのか?がわかるようになります。
縄跳びの運動強度は、既に測定されて指標にされていますので、それを参考にすることにしますが、安静時の酸素摂取量の8.0~12.0倍程度とされています。 走る速さで異なりますが、時速8キロでのランニングが、安静時の8.3倍ですので、よく似ているかと思います。
縄跳び運動の効果について
お散歩の代わりに縄跳び運動を継続した効果について考えてみたいと思いますが、対象者・縄跳び運動の方法・継続するための条件・効果の指標などが研究によって異なっていますので、縄跳び運動の効果を直接比較することが出来ませんが、条件の異なっていることを前提として、どのようなトレーニング効果が得られたか?を掲載しています。
骨が強くなる
女性グループに週3回の縄跳びを6カ月間続けさせたところ、下半身の骨密度が高くなる傾向が見られました。縄跳びは、骨粗しょう症予防に効果的であることが期待されます。
メンタル面が強くなる
定期的に縄跳び運動をすることでセロトニンの分泌量が増えます。セロトニンは、睡眠の質を上げる、不安な気持ちを緩和させてくれるなどメンタルにとってプラスに働いてくれます。セロトニンの分泌量増えれば生活リズムが整い、メンタルが強化されることが期待できます。
定期的に縄跳び運動をすることで男性ホルモンのテストステロンの分泌量も増えます。テストステロンが増えると、やる気が向上する・集中力がアップする・うつ症状の軽減など、メンタル面において良い影響が数え切れないほどあります。
コーディネーション能力が高くなる
コーディネーション能力とは、様々な種類の能力が総合的に発揮される能力のことで、定位能力・変換能力・連結能力・反応能力・識別能力・リズム能力・バランス能力の7項目に分けられます。縄跳び運動をする人は、しない人よりコーディネーション能力とバランス感覚がよい傾向になります。縄が引っかからないようにタイミングよく足を出すのは思いのほか難しいです。また、縄跳びでは足首・膝・股関節・腰の協調性も求められます。
心臓血管系に良い
継続的な縄跳び運動によって血圧が下がることは知られています。若い男性対象に、1日2回縄跳びをするグループAと、通常のエクササイズをするグループBに分けて12週間経過を見たところ、グループAの方は、運動強度と酸素摂取量の経済性が高まり、同じ強度で低い酸素摂取量であったことが分かりました。自動車に例えると少ない燃料で長い距離を走れる燃費の良い身体になれたことを表しています。
また、継続的な縄跳び運動は、体重と体脂肪のバランス(身体組成)・炎症・血圧・血管機能(血液とリンパ液の循環)などの循環器系に関しても良い影響を与えていることが分かりました。
縄跳びの運動強度は、ジョギング と同じの安静時の8〜12倍もありますから、運動処方については、個々の特異性に合わせて処方しなくてはなりませんから、ここでは割愛させて頂きます。
やまおくジムでは、お散歩の代わりに縄跳びを導入されていらっしゃる方もおられますが、もしご希望であれば、是非一度、カウンセリングを受けにお越し下さい。あなたにピッタリの運動処方をして差し上げます。
気になることは、縄跳び中の縄の回旋速度とエネルギー消費量との関係を明らかにした研究がありませんので、効率の良い回旋速度について明らかにすることが、今後の研究課題になりますね。